コーヒーに合う水は?軟水と硬水の違いと水道水・浄水器の使い方

掲載料・広告はありません。数字は焙煎所のショップの表示を集計したものです(2026年10月23日時点)。集計の方法

同じ豆、同じ挽き方、同じ湯量で淹れても、使う水を変えると味が変わります。豆の成分を溶かし出すのは水で、その水に溶けているミネラルが、どの成分がどれだけ出てくるか、酸味がどう感じられるかに関わるからです。ここでは、硬度の意味、軟水と硬水での味の違い、日本の水道水の特徴、浄水器とミネラルウォーターの考え方を順に整理します。化学の知識がなくても、ラベルや水道局の情報で十分に確かめられます。

水の硬度とは?軟水と硬水の違い

硬度は、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウムの量に換算して表した数字です。日本ではおもに1Lあたりのmg(mg/L)で書かれ、「カルシウム量×2.5+マグネシウム量×4.1」でおおよそ計算できます。ミネラルウォーターのラベルに硬度が書かれていない場合も、カルシウムとマグネシウムの量があれば、この式で目安がわかります。

軟水と硬水の境目には、世界共通の決まりはありません。よく引用されるのは、世界保健機関(WHO)の資料にある次の区分です。

硬度による水の区分(WHOの資料による目安、炭酸カルシウム換算)
区分硬度(mg/L)
軟水0〜60未満
中程度の軟水60〜120未満
硬水120〜180未満
非常な硬水180以上

国内の商品表示では、「軟水」「中硬水」「硬水」という呼び方もよく使われます。ただし境目の数字は表示する会社によって違うので、呼び方よりラベルの硬度の数字で比べるほうが確実です。

もうひとつ、コーヒーで大切なのが「アルカリ度」です。水に含まれる炭酸水素イオンなどの量で、酸を打ち消す働きの強さを表します。ミネラルウォーターのラベルでは「炭酸水素イオン」と書かれていることがあります。硬度が同じくらいでも、アルカリ度が高い水では、コーヒーの酸味が弱く、平板に感じられやすくなります。

水の硬度でコーヒーの味はどう変わる?

一般に、次のように説明されます。どちらがよいということではなく、豆と好みの組み合わせです。

  • 軟水:酸味や香りがはっきり出やすく、口当たりは軽めです。浅煎りの豆の果実のような香りを感じたいときに、違いが出やすいと言われます。
  • 硬水:苦味とコクが前に出て、酸味は穏やかになります。深煎りの豆では落ち着いた味として好まれることもありますが、浅煎りの豆では香りがこもり、平板に感じられることがあります。
  • ミネラルがほとんどない水:精製水や、逆浸透膜(RO膜)でミネラルまで取り除いた水は、成分が溶け出しにくく、味が薄く、とがった酸味に感じられることがあります。軟らかければ軟らかいほどよい、というわけではありません。

目安として、スペシャルティコーヒー協会(SCA)の水の資料は、抽出に使う水について、カルシウム硬度で68mg/L前後、アルカリ度で40mg/L前後を目標値として挙げ、塩素を含まないことを求めています。これは抽出の研究から出された目標で、守らなければならない上限ではありません。

焙煎所の説明でも、浅煎りの豆を「酸味」「果実感」で紹介する例が多く見られます。そうした豆ほど、水の違いが味に表れやすいと考えられます。

エスプレッソ1%(15)オムニ0%(0)ドリップ0%(1)記載なし99%(1,489)

全自動エスプレッソマシン向けの条件に合う豆:6銘柄(6軒の焙煎所)

焙煎所が書いている淹れ方(エスプレッソ向け、ドリップ向け、両方)の割合。在庫のある1,505銘柄、2026年10月23日時点。

日本の水道水はコーヒーに向いている?

日本の水道水は、多くの地域で軟水です。水道法の水質基準では、硬度は300mg/L以下と定められていますが、味の面からの目標値である「水質管理目標設定項目」では10〜100mg/Lとされており、実際の水道水もこの範囲に入る地域が多くなっています。ヨーロッパの多くの地域と比べると、ミネラルの少ない水です。

ただし地域差はあります。水源が地下水か川の水かによって硬度は変わり、沖縄県のように比較的硬度の高い水が多い地域もあります。住んでいる地域の水道水の硬度は、水道局のウェブサイトにある水質検査の結果で確かめられます。浄水場や地区ごとに公開されていることが多く、「総硬度」や「硬度(カルシウム、マグネシウム等)」の欄を見ます。

日本の水道水でコーヒーの味に影響しやすいのは、硬度よりも塩素です。水道法では、衛生のために蛇口の水に一定以上の残留塩素(遊離残留塩素0.1mg/L以上)を保つことが決められています。この塩素のにおいが、コーヒーの香りの邪魔をすることがあります。

  • 沸かして抜く:やかんで沸騰させたあと、ふたを開けたまま数分沸かし続けると、塩素のにおいは弱まります。
  • 浄水器を通す:活性炭を使った浄水器は、塩素やにおいを取り除くのに向いています(次の節)。
  • 朝いちばんの水を避ける:長く水道管にたまっていた水は、少し流してから使うと、においが気になりにくくなります。

浄水器を使うと味は変わる?

家庭用の浄水器には、ポット型、蛇口に取り付けるタイプ、シンクの下に置くタイプなどがあります。多くは活性炭で塩素やにおい、一部の物質を取り除くもので、硬度はあまり変わりません。日本の水道水はもともと軟水なので、塩素のにおいが気になる場合には、活性炭の浄水器だけで十分なことが多いと考えられます。

水の処理方法とコーヒーへの影響(一般的な仕組み。製品によって違います)
方法おもに取り除くものコーヒーにとっての意味
沸騰させる塩素の一部においは弱まる。硬度はほぼ変わらない
活性炭の浄水器塩素、におい香りの邪魔が減る。硬度はほぼ変わらない
イオン交換樹脂を使う浄水器カルシウムやマグネシウムの一部硬度が下がる。硬めの水の地域で違いが出やすい
逆浸透膜(RO膜)ミネラルを含むほとんどの溶けている物質軟らかくなりすぎることがある。ミネラルを足して使う方法もある

どの浄水器でも、カートリッジはメーカーの指定どおりに交換することが前提です。交換時期を過ぎたカートリッジは塩素を取り除けなくなります。浄水した水は塩素が抜けているため、作り置きせず、早めに使うのが基本です。当サイトは浄水器を試していないため、製品の比較はしていません。

ミネラルウォーターを使うなら?

市販のミネラルウォーターは、硬度の幅がとても広い商品です。一般に、国産の商品には軟水が多く、ヨーロッパから輸入された商品には硬度の高いものが多く見られます。同じ「天然水」でも、採水地によって硬度は大きく違います。

ラベルで見るのは次の3つです。

  • 硬度:まずは軟水から中程度の軟水の範囲で試すと、水道水との違いがわかりやすくなります。
  • カルシウムとマグネシウム:硬度の中身です。硬度が書かれていなければ、上の式で計算できます。
  • 炭酸水素イオン(書かれている場合):多いほど酸味が穏やかに感じられやすくなります。

炭酸水は、コーヒーを淹れる水には向きません。違いを確かめるなら、同じ豆を水道水(または浄水)とミネラルウォーターで1杯ずつ淹れ、並べて飲み比べるのが手軽です。はっきり違いがわかれば、水を見直す価値があります。違いがわからなければ、水道水のままで問題ありません。

より細かく合わせたい場合は、精製水にコーヒー用のミネラルを溶かして水を作る方法もあります。毎回同じ水になる利点がありますが、手間がかかるため、日常的に使う人は多くありません。

コーヒーメーカーやエスプレッソマシンでは?

機械で湯を沸かす場合は、味だけでなく機械の手入れも関わってきます。硬度の高い水は、湯を沸かす部分に「水あか」(カルシウムなどが固まったもの)を残しやすく、湯の通り道を細くすることがあります。そのため多くのメーカーは、取扱説明書で使える水を指定し、硬度の高いミネラルウォーターを避けるよう書いたり、定期的なクエン酸洗浄を案内したりしています。

反対に、ミネラルのほとんどない水では水位を検知しにくい機種があるとも言われます。機械を使う場合は、水の好みより、まず取扱説明書の指定に従うのが確実です。コーヒーメーカー向けの豆やエスプレッソ向けの豆も、焙煎所の記載をもとにまとめています。

水が合っているかを味で確かめるには?

  • 浅煎りなのに酸味をほとんど感じず、平板な味:水の硬度やアルカリ度が高いことがあります。軟水で淹れ比べてみます。
  • 薄く、酸味だけがとがって感じる:水のミネラルが少なすぎるか、挽き目が粗すぎることがあります。
  • プールのような、薬品のようなにおい:塩素が残っています。沸騰させるか浄水器を通します。
  • やかんやポットの内側に白い跡が残る:硬度の高めの水です。機械を使う場合は手入れの頻度を上げます。

確かめるときは、変えるのを一度にひとつだけにします。まず水を変え、次に挽き目を変える、という順番です。挽き目の合わせ方はコーヒー豆の挽き方で解説しています。酸味の感じ方については酸味と苦味の違いも参考になります。

わかっていないこと

  • それぞれの家庭の水道水の成分。地域や水源、季節によって変わります。正確な数字は水道局の公表値か、検査でしかわかりません。
  • 浄水器や水の銘柄ごとの違い。当サイトは製品を試していないため、特定の製品や銘柄は挙げていません。
  • 好み。硬めの水で淹れた深煎りを好む人もいます。上に書いた傾向は一般的な説明で、正解の味を決めるものではありません。

よくある質問

コーヒーには軟水と硬水のどちらが向いている?

一般には軟水から中程度の軟水が使いやすいとされます。酸味や香りが出やすく、日本の水道水の多くもこの範囲です。深煎りの豆を硬めの水で淹れ、苦味とコクを楽しむ人もいます。

水道水のままでもおいしく淹れられる?

多くの地域では淹れられます。日本の水道水は多くが軟水だからです。塩素のにおいが気になるときは、沸騰させてから数分沸かし続けるか、活性炭の浄水器を通します。

浄水器を通すと硬度は下がる?

活性炭だけの浄水器では、硬度はほとんど変わりません。取り除くのはおもに塩素とにおいです。硬度を下げるのはイオン交換樹脂や逆浸透膜を使うタイプです。

水出しコーヒーにも同じことが言える?

同じ考え方が当てはまります。水出しでは水を加熱しないため塩素が抜けにくく、浄水した水やミネラルウォーターを使うと、においの影響を受けにくくなります。水出し向けの豆もまとめています。

ハンドドリップ向けの豆

OVERVIEW COFFEE広島県尾道市

ESPRESSO | APROCSAA , Guatemala

グアテマラ、アティトラン、1,700〜2,000m

ウォッシュド、ブルボン、カトゥーラ

フローラル・紅茶、ナッツ・キャラメル、ストーンフルーツ

エスプレッソ向け

100gあたり ¥1,256

グアテマラ・ウォッシュドの中央値より9%高い

焙煎所のサイトで見る

GOODMAN ROASTER京都市下京区

ALISAN YANGUI / GEISHA

台湾、Alishan、1,230〜1,500m

ナチュラル、ゲイシャ

フローラル・紅茶、ベリー、ナッツ・キャラメル

ドリップ向け

価格は焙煎所のサイトでご確認ください

焙煎所のサイトで見る

ハンドドリップ向けの豆をすべて見る

出典と方法

  • 硬度の区分:World Health Organization「Hardness in Drinking-water」(飲料水水質ガイドラインの背景文書)。
  • 水道水の硬度と残留塩素:厚生労働省「水質基準項目と基準値」「水質管理目標設定項目」、水道法施行規則。
  • 抽出に使う水の目標値:Specialty Coffee Association「Water Quality Handbook」。
  • 浄水の方法と味の傾向:一般的なコーヒーの知識によります。当サイトは浄水器や水の銘柄を試していません。
  • グラフ:焙煎所が書いている淹れ方(エスプレッソ向け、ドリップ向け)を集計したもの。在庫のある豆のみ、2026年10月23日時点。分類のルールは淹れ方の分類。
  1. 価格は各焙煎所のショップの表示(税込)です。最新の価格・在庫はショップでご確認ください。