浅煎り・中煎り・深煎りの違いと焙煎度8段階

掲載料・広告はありません。数字は焙煎所のショップの表示を集計したものです(2026年10月21日時点)。集計の方法

「浅煎りは酸っぱい」「深煎りは苦い」とよく言われますが、半分だけ当たっています。焙煎度は味の方向を決める大きな要素ですが、同じ「シティロースト」でも焙煎所によって色も味も変わります。ここでは焙煎度の基本、8段階の名前の意味、パッケージの表記を読むときの手がかりをまとめます。

浅煎りと深煎りの違いは?

生豆は焙煎機の中で水分が抜けて色づき、やがてパチパチとはじけます。最初にはじける音を「1ハゼ」、さらに煎り進めたときに出る細かい音を「2ハゼ」と呼びます。1ハゼのあたりで火を止めれば浅煎り、2ハゼが進むほど深煎りになります。

煎りが浅いほど、酸味や果実、花のような香りなど、産地や精製方法に由来する個性が残ります。煎りが進むと酸味は穏やかになり、ナッツやキャラメルのような香ばしさが出て、さらに進むと苦味とコクが中心になります。

浅煎り・中煎り・深煎りの違い(一般的な傾向)
浅煎り中煎り深煎り
豆の色明るい茶色。表面につやはない茶色からやや濃い茶色こげ茶から黒に近い色。表面に油が出ることも
味の傾向酸味と果実感がはっきり酸味と苦味のバランス苦味とコクが中心
香りの例柑橘、ベリー、花、紅茶ナッツ、キャラメル、ミルクチョコレートダークチョコレート、香ばしさ、スモーキー
よく使われる淹れ方ハンドドリップハンドドリップ、カフェオレエスプレッソ、カフェオレ、アイスコーヒー

浅煎りの「酸味」は、熟した果物のような明るさのことで、淹れ方の失敗や古い豆から出る「酸っぱさ」とは別物です。この違いは酸味と酸っぱさの違いで詳しく解説しています。

焙煎度8段階とは?ライトからイタリアンまで

日本の本や焙煎所でよく使われるのが、ライトからイタリアンまでの8段階です。もともとは1920〜1930年代に北米のコーヒー取引業者が使っていた呼び名を集めたもので、明確な基準があったわけではないとされています。

焙煎度8段階の早見表。進み具合と色は目安で、区分の境目は解説によって異なります(銘柄数は2026年10月21日時点)
段階煎り具合と色の目安よく見られる区分コーヒー図鑑の区分記載のある銘柄
1. ライトロースト1ハゼが始まる前後。黄みの残る薄い茶色浅煎り浅煎り40
2. シナモンロースト1ハゼの途中。シナモンのような明るい茶色浅煎り浅煎り2
3. ミディアムロースト1ハゼの終わりごろ。茶色浅煎り〜中煎り中浅煎り60
4. ハイロースト1ハゼが終わり、2ハゼの前。やや濃い茶色中煎り中煎り41
5. シティロースト2ハゼが始まるころ。濃い茶色中煎り〜深煎り中深煎り96
6. フルシティロースト2ハゼの最中。こげ茶色で、油がにじみ始める深煎り(中深煎りとも)中深煎り50
7. フレンチロースト2ハゼの終わりごろ。黒に近い茶色で、表面に油深煎り深煎り25
8. イタリアンロースト2ハゼが終わったあと。ほぼ黒深煎り深煎り20

「よく見られる区分」は、解説によって1段階ほどずれます。たとえばシティローストを中煎りとする説明もあれば、深煎りの入り口とする説明もあります。ミディアムローストも、浅煎りに含める解説と中煎りに含める解説があります。右の2列は、焙煎所が8段階の名前で書いている豆を、コーヒー図鑑がどの区分にまとめ、何銘柄あるかを示しています。

シティロースト、フルシティローストとは?

シティローストは、2ハゼが始まるころまで煎った焙煎度です。酸味と苦味のバランスをとった煎り方として知られ、焙煎所によって中煎りとも中深煎りとも呼ばれます。フルシティローストはそこから一歩進めた段階で、苦味とコクが前に出て、豆の表面に油がにじみ始めます。ミルクと合わせるコーヒーやアイスコーヒー、エスプレッソに使われることが多いとされる焙煎度です。「シティ」の名前の由来には、ニューヨークで好まれた煎り方だったという説がありますが、はっきりしていません。

ハイローストは1ハゼが終わったあたりで、酸味が落ち着き、甘さが出てくる段階です。ミディアムローストはその手前で、酸味がまだはっきり残ります。フレンチローストとイタリアンローストは2ハゼの後半以降の段階で、苦味と焦がしたような香ばしさが中心になり、豆の表面に油が浮きます。

中浅煎り・中深煎りとは?コーヒー図鑑の5区分

焙煎所の多くは、8段階の名前ではなく「浅煎り」「中煎り」「深煎り」、あるいは間をとった「中浅煎り」「中深煎り」で焙煎度を書いています。中浅煎りは浅煎りと中煎りの間、中深煎りは中煎りと深煎りの間で、どちらにも決まった定義はありません。コーヒー図鑑では、焙煎所の表記をそのまま残したうえで、次の5つの区分にそろえています。

コーヒー図鑑の焙煎度5区分と、焙煎所の表記の例(銘柄数と割合は焙煎度の記載がある豆のうち、2026年10月21日時点)
区分焙煎所の表記の例銘柄数割合
浅煎り「浅煎り」「極浅煎り」27418%
中浅煎り「中浅煎り」「やや浅煎り」「浅煎り〜中煎り」15110%
中煎り「中煎り」35023%
中深煎り「中深煎り」「やや深煎り」38925%
深煎り「深煎り」「極深煎り」37224%

8段階の名前で書かれた豆は、上の早見表の「コーヒー図鑑の区分」に入ります。探しやすいように、浅煎りと中浅煎りを浅煎りのコーヒー豆、中煎りを中煎りのコーヒー豆、中深煎りと深煎りを深煎りのコーヒー豆のページにまとめています。

なぜ焙煎所によって焙煎度の呼び方が違う?

名前で焙煎度を表す共通の基準がないからです。深煎りを中心に扱う焙煎所が、自分の店でいちばん浅い豆を「浅煎り」と呼ぶと、浅煎りを得意とする焙煎所から見れば中煎りに近い、ということが起こります。コーヒー研究者の旦部幸博氏も、浅煎りから深煎りまでの呼び方は地域や焙煎所ごとにまちまちで、深煎りを中心とする焙煎所の「浅煎り」がフルシティに近い例もあると書いています。

色を機械で測る方法もあります。挽いた豆に光を当て、反射の強さを数値にするもので、日本では「L値」、海外ではアグトロン(Agtron)の値がよく使われ、スペシャルティコーヒー協会(SCA)も色による分類を用意しています。ただ、こうした数値を公開している焙煎所は多くありません。同じ色でも、火の入れ方(焙煎プロファイル)が違えば味は変わります。

実際に役立つのは、焙煎度を「同じ焙煎所の中で比べる物差し」として使うことです。同じ焙煎所の「浅煎り」と「中煎り」なら、前者のほうが浅く煎られています。別の焙煎所どうしでは、方向を示す目安と考えておくのが無難です。

パッケージの焙煎度はどう読む?

  • 8段階の名前か、5区分か。「シティロースト」のように書かれていれば、上の早見表で位置を確かめられます。「中深煎り」のように区分だけなら、同じ焙煎所のほかの豆と並べると位置がつかめます。
  • 「浅煎り〜中煎り」のような幅。焙煎所自身が中間と考えている豆です。コーヒー図鑑では中浅煎りとして扱います。
  • 「エスプレッソ用」「ドリップ用」は焙煎度ではありません。淹れ方に合わせた煎り方の目安で、焙煎度とは別に書かれます。一般に、エスプレッソ用は同じ焙煎所のドリップ用より深めです。
  • 風味の記載。ベリー、柑橘、花、紅茶といった言葉は浅めの焙煎、チョコレート、ナッツ、キャラメルといった言葉は中煎りから深めの焙煎の手がかりになります。ただし、ナチュラルの豆は中煎りでもベリーの香りが出ることがあり、あくまで傾向です。
  • 豆の見た目。浅煎りは明るい茶色でつやがなく、深煎りは色が濃く、表面に油が浮くことがあります。中煎りまでの豆に油が浮いているなら、焙煎から日数がたっている可能性があります。

コーヒー図鑑に載っている豆でよく見かける表記は、「深煎り」(290銘柄)、「中煎り」(283銘柄)、「中深煎り」(233銘柄)、「浅煎り」(200銘柄)、「シティロースト」(60銘柄)、「中浅煎り」(49銘柄)です。焙煎度の記載がある豆のうち、8段階の名前を使っているのは22%です。

焙煎度で迷ったら、淹れ方から選ぶ方法もあります。ハンドドリップ向けの豆は、焙煎所がドリップ向けとしている豆をまとめたページです。

焙煎度が書かれている豆はどのくらい?

コーヒー図鑑で販売中の豆のうち、焙煎度の記載が見つからない豆は27%あります。ショップの絞り込みにも、商品名や説明文にも書かれていない豆です。焙煎度を1銘柄以上に書いている焙煎所は、158軒中137軒です。

浅煎り13%(274)中浅煎り7%(151)中煎り17%(350)中深煎り18%(389)深煎り18%(372)記載なし27%(577)
販売中の豆の焙煎度(焙煎所の記載による5区分と「記載なし」)。焙煎所が書いた焙煎度だけを使い、色や産地、風味から推測はしていません。2026年10月21日時点。

100gあたり中央値は、浅煎り(中浅煎りを含む)が¥1,350、中煎りが¥1,050、深煎り(中深煎りを含む)が¥1,000です。浅煎りが高めなのは、煎り方の費用というより、ゲイシャや手間のかかる精製方法の豆が浅めに煎られることが多いためと考えられます。値段の差がどこから来るかは100gあたりの相場で解説しています。

コーヒー図鑑の浅煎りの豆

SOT COFFEE ROASTER大阪市

Colombia Alto de Las Estrellas Anaerobic Natural コロンビア アルト デ ラス エストレージャス アナエロビック ナチュラル

コロンビア、ナリーニョ、1,900m

ナチュラル(アナエロビック)、カトゥーラ、カスティージョ

柑橘、ベリー、トロピカル・ワイニー

100gあたり ¥2,053

コロンビア・ナチュラルの中央値より14%安い

焙煎所のサイトで見る

SUGITA COFFEE奈良県平群町

エチオピア・モカ・イルガチェフG1

エチオピア、イルガチェフェ、2,500m

ウォッシュド、エチオピア在来種

フローラル・紅茶、トロピカル・ワイニー、ストーンフルーツ

100gあたり ¥950

エチオピア・ウォッシュドの中央値より20%安い

焙煎所のサイトで見る

THE ROASTERY BAISEN-MON宮崎県

エチオピア デカフェ

エチオピア、シダマ、2,000m

ウォッシュド、エチオピア在来種

柑橘、ナッツ・キャラメル

100gあたり ¥1,350

デカフェの中央値より16%高い

焙煎所のサイトで見る

TSUKIKOYA COFFEE ROASTER神奈川県横須賀市

GEISHA-Ethiopia 浅煎り Honey

エチオピア、Bench Maji、1,730〜1,890m

ナチュラル、ゲイシャ

フローラル・紅茶、柑橘、トロピカル・ワイニー

100gあたり ¥2,160

ゲイシャの中央値より17%安い

焙煎所のサイトで見る

浅煎り・中浅煎りの豆をすべて見る

わかっていないこと

  • 実際の煎り具合。使っているのは焙煎所が書いた焙煎度だけです。豆の色は測っておらず、産地や風味から焙煎度を推測することもしていません。
  • 焙煎所どうしの比較。同じ「中煎り」でも、焙煎所が違えば煎り具合が大きく違うことがあります。区分は、同じ焙煎所の中での比較にいちばん向いています。
  • 複数の焙煎度が書かれた豆。説明文に「浅煎りから深煎りまで」のように商品全体の話があり、焙煎度がひとつに決まらない豆は「記載なし」として扱っています。
  • 好みに合うかどうか。焙煎度、豆、水、レシピがそろって味が決まります。2種類の豆を同じ淹れ方で飲み比べるのが、確かな方法です。

出典と方法

  • 焙煎度:焙煎所のショップの絞り込み、商品ページの項目、商品名・説明文に書かれたものだけを使用。8段階の名前と5区分の対応は上の早見表のとおりです。読み取りのルールは項目の読み取り方。
  • 8段階の名前の由来と、呼び方が店ごとに違うこと:旦部幸博、現代ビジネスの記事(2020年10月1日、『コーヒーの科学』講談社ブルーバックスより)。2026年10月20日閲覧。
  • 「よく見られる区分」:国内のコーヒー解説記事(コーヒー豆研究所、macaroniほか)を比べ、境目が分かれる段階は幅で示しました。2026年10月20日閲覧。
  • 色による焙煎度の分類:スペシャルティコーヒー協会(SCA、sca.coffee)。コーヒー図鑑は焙煎や色の測定を行っていません。
  • 価格:基準の袋(100〜250g)の100gあたり価格の中央値。グループは5銘柄・3軒以上の焙煎所がそろう場合のみ表示しています。
  • 数字:コーヒー図鑑で販売中の豆、n=2,113、2026年10月21日時点。
  1. 価格は各焙煎所のショップの表示(税込)です。最新の価格・在庫はショップでご確認ください。