デカフェの作り方:製法の違いと「カフェインレス」の意味

掲載料・広告はありません。数字は焙煎所のショップの表示を集計したものです(2026年10月21日時点)。集計の方法

カフェインを控えたいときに選ばれるデカフェですが、どうやってカフェインを抜いているのかは、袋を見てもよくわかりません。製法の名前が書かれていることもあれば、「デカフェ」としか書かれていないこともあります。ここでは、製法ごとの違いと、「デカフェ」「カフェインレス」という言葉が日本でどう決められているのかを整理します。

デカフェはどうやって作る?

どの製法も、焙煎前の生豆に対して行います。多くは、生豆を水や蒸気で湿らせてカフェインが動きやすい状態にし、水や溶剤、二酸化炭素でカフェインを取り出します。そのあと豆を乾かして、焙煎所に届けます。難しいのは、カフェインだけを抜いて、焙煎で香りや甘さのもとになる成分をできるだけ残すことです。カフェインを抜いた生豆は、ほかの豆と同じように焙煎されます。

製法の違いは?スイスウォーター・CO₂・EA・ジクロロメタン

デカフェの主な製法(加工会社と焙煎所の説明による)
製法カフェインを取り出すものよく行われる場所袋での書かれ方の例
スイスウォーター製法生豆の成分を溶かし込んだ水と活性炭フィルターカナダ(ブリティッシュコロンビア州)「スイスウォーター」「SWP」
マウンテンウォーター製法水と活性炭フィルターメキシコ(ベラクルス州)「マウンテンウォーター」
二酸化炭素(CO₂)抽出法高い圧力をかけた二酸化炭素専用の工場「CO₂製法」「超臨界二酸化炭素」
サトウキビ由来酢酸エチル(EA)製法サトウキビを発酵させて作る酢酸エチルコロンビアの産地の近く「サトウキビ由来」「EA」「シュガーケーン」
ジクロロメタン(DCM)製法ジクロロメタン(塩化メチレン)大規模な工場名前が書かれることは少ない

スイスウォーター製法は、カナダのスイスウォーター社による製法です。名前に「スイス」とありますが、工場はカナダにあります。生豆の成分をあらかじめ溶かし込んだ水に生豆を浸すと、主にカフェインだけが水に移ります。その水を活性炭のフィルターに通してカフェインを取り除き、繰り返し使います。同社は塩素系の溶剤やエステルを使わないとしています。マウンテンウォーター製法は、メキシコのデスカメックス社による、水と活性炭を使う同じタイプの製法です。

二酸化炭素(CO₂)抽出法は、高い圧力をかけて液体に近い状態にした二酸化炭素でカフェインを溶かし出す方法です。

サトウキビ由来酢酸エチル(EA)製法は、酢酸エチルという成分でカフェインを取り出します。酢酸エチルは果物にも含まれる成分で、この製法ではサトウキビを発酵させて作ったものを使います。焙煎所の商品ページでは、生豆を蒸して酢酸エチルの液に何度か浸し、もう一度蒸して液を飛ばす、という手順がよく説明されています。

ジクロロメタン(DCM)製法は、溶剤のジクロロメタンを使う製法で、大量に流通するデカフェで長く使われてきました。製法を書かずに「デカフェ」とだけ表示される豆もあり、そうした豆の製法はわかりません。

国内の焙煎所が挙げている製法は?

コーヒー図鑑では、焙煎所が商品名、精製方法の欄、説明文のどこかで製法の名前を挙げている場合だけ、その製法を記録しています。製法の名前がなければ「製法の記載なし」とし、ほかの情報から推測はしません。

焙煎所が挙げているデカフェの製法(コーヒー図鑑、2026年10月21日時点)
製法銘柄数製法がわかる豆に占める割合
マウンテンウォーター製法5773%
スイスウォーター製法1519%
二酸化炭素(CO₂)抽出法45%
サトウキビ由来酢酸エチル(EA)製法23%
製法の記載なし48—
マウンテンウォーター57(45%)スイスウォーター15(12%)二酸化炭素(CO₂)4(3%)サトウキビ(EA)2(2%)ジクロロメタン(DCM)0(0%)記載なし48(38%)

100gあたり価格の中央値:デカフェ¥1,165(価格のわかる104銘柄)、そのほかの豆¥1,100(1,715銘柄)

コーヒー図鑑のデカフェを、焙煎所が挙げている製法ごとに数えたもの(「製法の記載なし」を含む)。2026年10月21日時点。

デカフェの100gあたりの中央値は¥1,165(104銘柄)で、豆全体の中央値は¥1,100です(2026年10月21日時点、税込・送料別)。デカフェの92%はシングルオリジンで、産地や精製方法がほかの豆と同じように書かれているものも多くあります。

産地や精製方法の読み方はナチュラルとウォッシュドの違い、スペシャルティの考え方はスペシャルティコーヒーとはで解説しています。

デカフェとカフェインレスの違いは?

日本のコーヒーの表示ルール「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」の施行規則は、カフェインを90%以上取り除いたコーヒーについて、「カフェインレスコーヒー」「デカフェネィテッドコーヒー」などと表示すると定めています。この規約は、消費者庁長官と公正取引委員会が認定した業界のルールです。

「デカフェ」は、英語のdecaffeinated(カフェインを取り除いた)を縮めた言葉です。規約を運営する全日本コーヒー公正取引協議会は、2024年3月の資料で、この規定は生豆からカフェインを90%以上取り除いたものを想定していると説明しています。規約上は「カフェインレスコーヒー」と「デカフェネィテッドコーヒー」は同じ基準の表示で、「デカフェ」はその略として使われています。

カフェインを含まないことを示す「ノンカフェイン」という言い方は、この規約には出てきません。もともとカフェインを含まない飲み物に使われることの多い言葉で、カフェインがわずかに残るデカフェのコーヒーとは意味が違います。コーヒー図鑑では、コーヒーには「デカフェ」と「カフェインレス」だけを使っています。

カフェインはどのくらい残る?

デカフェにも、カフェインは少し残ります。表示ルールの基準は「90%以上取り除いた」なので、もとの量の1割までは残っていても基準を満たします。実際の除去率は豆によって異なり、書いている焙煎所もあります。

コーヒー図鑑はカフェインの量を測っていません。デカフェでも、カフェインがゼロになるわけではありません。

妊娠中・授乳中のカフェインについて

コーヒー図鑑は医療や健康についての助言はしていません。妊娠中や授乳中のカフェインについては、厚生労働省の「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」などの公的な情報をご覧ください。

デカフェの豆を選ぶときに見ること

  • 製法の名前。製法を書いている焙煎所は、産地や農園、精製方法も書いていることが多くあります。
  • 産地と精製方法、焙煎度。風味は製法だけでなく、ほかの豆と同じようにこれらで大きく変わります。焙煎度による違いは焙煎度の違いで解説しています。
  • 淹れ方。エスプレッソ用なら、焙煎所がエスプレッソ向けとしているデカフェの豆から探せます。
  • 袋の大きさ。夜の1杯だけなど飲む量が少ない場合は、小さな袋のほうが香りが落ちる前に飲み切れます。保存の仕方はコーヒー豆の保存方法で解説しています。

在庫のあるデカフェはすべてデカフェのコーヒー豆で、製法や産地を比べながら見られます。

在庫のあるデカフェ

THE ROASTERY BAISEN-MON宮崎県

エチオピア デカフェ

エチオピア、シダマ、2,000m

ウォッシュド、エチオピア在来種

柑橘、ナッツ・キャラメル

100gあたり ¥1,350

デカフェの中央値より16%高い

焙煎所のサイトで見る

GARAGE COFFEE宮崎市

ETHIOPIA DECAF

エチオピア、シダマ、2,000m

ウォッシュド、エチオピア在来種

柑橘、チョコレート、ナッツ・キャラメル

100gあたり ¥1,944

デカフェの中央値より67%高い

焙煎所のサイトで見る

PHILOCOFFEA千葉県船橋市

287 Ethiopia G4 Tade GG Natural Decaf

エチオピア、シャキソ、1,800〜2,000m

ナチュラル、エチオピア在来種

ベリー、チョコレート、ナッツ・キャラメル

100gあたり ¥1,469

デカフェの中央値より26%高い

焙煎所のサイトで見る

AKITO COFFEE山梨県甲府市

ETHIOPIA Decaf デカフェ(Ethiopia)

エチオピア、グジ、2,200m

ナチュラル、エチオピア在来種

フローラル・紅茶、トロピカル・ワイニー、ナッツ・キャラメル

100gあたり ¥1,527

デカフェの中央値より31%高い

焙煎所のサイトで見る

デカフェの豆をすべて見る

わかっていないこと

  • 袋ごとのカフェインの量。当サイトは測定しておらず、量を書いている焙煎所もわずかです。
  • 「製法の記載なし」の豆の製法。焙煎所の言葉から読み取れない場合、産地や価格から推測はしません。
  • 製法ごとの日本の法令上の扱い。それぞれの製法が国内の法令でどう扱われるかは、一次資料で確認できていないため、ここでは書いていません。
  • どの製法がおいしいか。当サイトは試飲をしていません。風味の説明は焙煎所の言葉をAIで分類したものです。

出典と方法

  • カフェインレスの表示基準:全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約及び施行規則」施行規則第3条(4)イ(全国公正取引協議会連合会、PDF、2024年10月1日施行の変更を含む版)。2026年10月20日閲覧。
  • 規定の解釈(生豆からの除去を想定、認定された表現):全日本コーヒー公正取引協議会「CFTニュース&息抜き(3月)」(2024年3月)。2026年10月20日閲覧。
  • カフェインについての公的な情報:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」。2026年10月20日閲覧。
  • 製法:Swiss Water Decaffeinated Coffee「Our process」、Descamex(descamex.com.mx)、サトウキビ由来(EA)製法は焙煎所の商品ページの説明。2026年10月閲覧。
  • 当サイトの数字:在庫のあるデカフェのうち、焙煎所が商品名、精製方法の欄、説明文で製法の名前を挙げているものを数えています。1銘柄は1回だけ数えます。価格は基準の袋の100gあたり(税込・送料別)。2026年10月21日時点。詳しくは項目の読み取り方。
  1. 価格は各焙煎所のショップの表示(税込)です。最新の価格・在庫はショップでご確認ください。