ナチュラルとウォッシュドの違いは?コーヒーの精製方法と味・値段
掲載料・広告はありません。数字は焙煎所のショップの表示を集計したものです(2026年10月21日時点)。集計の方法
コーヒー豆はコーヒーノキの実の種です。赤く熟した実は、外側から外皮、果肉、ぬめりのある粘液質(ミューシレージ)、パーチメントと呼ばれる殻、薄い銀皮の順に重なり、その中に種が2粒入っています。この種を取り出し、水分が10〜12%ほどになるまで乾かす工程を、精製方法と呼びます。
同じ農園の同じ収穫でも、精製方法を変えると味が大きく変わります。そのため、焙煎所は産地や品種と並べて精製方法を書いています。まず工程の違いを表にまとめます。
| 精製方法 | 乾かすもの | 水の使用 | よく見られる味の説明 |
|---|---|---|---|
| ウォッシュド | 果肉と粘液質を除いた種 | 多い | すっきり、明るい酸味、柑橘や花 |
| ハニー | 粘液質を残した種 | 少ない | 甘さ、やわらかな酸味、まろやか |
| ナチュラル | 実をまるごと | ほとんど使わない | 果実感、ベリーやワインのような香り、しっかりした甘さ |
| スマトラ式 | 殻をはずした、まだ湿った種 | 少ない | ハーブやスパイス、土のような香り、重厚なコク |
コーヒーの精製方法とは?
精製は、収穫した実を、保管や輸送ができる生豆にするまでの作業です。実から種を分け、乾かし、殻を取り除きます。どの段階で果肉を除くか、果肉や粘液質をどれだけ残して乾かすかで、種が果実の成分や発酵から受ける影響が変わり、それが味の違いになります。
精製を行うのは産地の農園や精製所で、焙煎所ではありません。焙煎所の説明にある精製方法は、多くの場合、生産者や輸入会社の情報をもとにしています。
ウォッシュドとは?
ウォッシュドは、収穫後すぐに機械で外皮と果肉を取り除き、残った粘液質を水槽で発酵させて分解してから、水で洗い流して乾かす方法です。発酵の時間は気候によって数時間から数日まで変わります。洗った種はパーチメントがついたまま、パティオ(乾燥場)、アフリカンベッドと呼ばれる棚、乾燥機などで乾かします。
果肉が種に接している時間が短いため、焙煎所の説明では、すっきりとして輪郭のはっきりした味、明るい酸味、柑橘や花の香りが特徴とされることが多いです。産地や品種の個性が出やすい方法と言われます。コロンビア、ケニア、中米の多くの国で一般的で、エチオピアにもウォッシュドの精製所は多くあります。ただし、大量の水と設備が必要です。
コーヒー図鑑では、131軒の焙煎所の700銘柄がウォッシュドです。ウォッシュドのコーヒー豆で産地や100gあたり価格を比べられます。
ナチュラルとは?
ナチュラルは、古くから行われてきた方法です。実をまるごと、パティオや棚に薄く広げ、数週間かけて天日で乾かします。カビや発酵のしすぎを防ぐため、こまめにかき混ぜなければならず、手間がかかります。実が干しぶどうのように黒くしわの寄った状態になったら、乾いた外皮ごと殻を取り除きます。
果肉が長いあいだ種についているため、焙煎所の説明では、ベリーやトロピカルフルーツ、ワインのような香り、しっかりした甘さとコクが挙げられることが多いです。エチオピア、イエメン、ブラジルで伝統的に行われてきました。水をほとんど使わない一方で、乾燥にむらがあると、発酵しすぎた香りやこもったにおいが出ることがあります。
コーヒー図鑑では、121軒の焙煎所の395銘柄がナチュラルです。ナチュラル精製のコーヒー豆を並べて比べられます。
ハニーとは?蜂蜜は使う?
蜂蜜は使いません。ハニーは、ウォッシュドと同じように外皮と果肉を取り除いたあと、粘液質の一部または全部を残したまま乾かす方法です。名前の由来は、べたつく粘液質を中米で「ミエル(蜂蜜)」と呼ぶことにあります。ブラジルでは近い方法をパルプドナチュラルと呼びます。
イエロー、レッド、ブラックなどの呼び方は、おおむね粘液質をどれだけ残したか、どれだけゆっくり乾かしたかを表します。残す量が多く、乾燥が遅いほど、色の名前が濃くなります。ただし、決まった基準はありません。焙煎所の説明では、甘く丸みのある味、ナチュラルより穏やかな果実感、ウォッシュドよりやわらかな酸味と説明されることが多いです。コスタリカやエルサルバドルでよく行われています。
当サイトでは、商品名か精製方法の欄に「ハニー」とある場合だけ、精製方法をハニーとしています。説明文にある「ハニーのような甘さ」は、多くの場合、風味の表現だからです。その条件で79軒の焙煎所の144銘柄がハニー精製のコーヒー豆です。
アナエロビック・インフューズド・スマトラ式とは?
アナエロビック(嫌気性発酵)は、酸素を断った密閉タンクの中で、実のまま、または果肉を除いた種を数日発酵させ、そのあとナチュラル、ウォッシュド、ハニーのいずれかの方法で乾かす方法です。そのため当サイトでは、アナエロビックを基本の精製方法に加える工程として扱い、「ナチュラル(アナエロビック)」のように表示しています。タンクに二酸化炭素を満たすカーボニックマセレーションは、ワイン造りから取り入れられた近い方法です。
焙煎所の説明では、ワインやお酒のような香り、トロピカルフルーツ、シナモンなどのスパイスが挙げられることが多く、好みが分かれやすい豆です。
インフューズドは、発酵の途中に果物やスパイス、酵母、香料などを加える方法です。産地の味と言えるのか、香りづけしたコーヒーなのかは、スペシャルティコーヒーの世界でも意見が分かれています。加えたことが明記されているかどうかが、判断の手がかりになります。当サイトでは焙煎所がインフューズドと書いている場合に表示し、カタログの精製方法の絞り込みで除くこともできます。ただし、すべての焙煎所が書いているわけではありません。
スマトラ式は、インドネシアのスマトラ島などで行われる方法で、パーチメント(殻)をまだ湿った状態ではずしてから乾かします。マンデリンの多くがこの方法で、焙煎所の説明ではハーブやスパイス、土のような香り、重厚なコクが挙げられることが多いです。
コーヒー図鑑では、55軒の焙煎所の103銘柄がアナエロビック、56銘柄がインフューズドです(2026年10月21日時点)。アナエロビックとインフューズドの豆にまとめています。
精製方法で味と値段はどう違う?
下の表は、精製方法ごとに、銘柄数、精製方法の記載がある豆に占める割合、100gあたり価格の中央値と幅(安いほうから1割と高いほうから1割を除いた範囲)、焙煎所の説明に多い風味の系統と産地を並べたものです。風味の系統は焙煎所の説明をAIで8つに分類したもので、味を測ったものではありません。
| 精製方法 | 銘柄数 | 割合 | 中央値 | 幅(下位1割〜上位1割) | 多い風味の系統(AI分類) | 多い産地 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ウォッシュド | 700 | 53% | ¥1,149 | ¥848〜¥2,400 | 柑橘、ナッツ・キャラメル、フローラル・紅茶 | コロンビア、エチオピア、グアテマラ |
| ハニー | 144 | 11% | ¥1,100 | ¥862〜¥2,320 | ナッツ・キャラメル、柑橘、チョコレート | ブラジル、コスタリカ、エルサルバドル |
| ナチュラル | 395 | 30% | ¥1,225 | ¥878〜¥2,375 | ナッツ・キャラメル、トロピカル・ワイニー、ベリー | エチオピア、ブラジル、ニカラグア |
| スマトラ式 | 61 | 5% | ¥1,043 | ¥800〜¥1,306 | フローラル・紅茶、チョコレート、ドライフルーツ・スパイス | インドネシア、東ティモール |
| アナエロビック(基本の精製方法は問わない) | 103 | 8% | ¥1,533 | ¥1,000〜¥3,560 | トロピカル・ワイニー、ストーンフルーツ、フローラル・紅茶 | コロンビア、エチオピア、ブラジル |
| インフューズド | 56 | 4% | ¥2,375 | ¥1,396〜¥4,054 | トロピカル・ワイニー、フローラル・紅茶、ストーンフルーツ | コロンビア、ブラジル、中国 |
アナエロビックとインフューズドは基本の精製方法と重ねて数えているため、割合の合計は100%を超えます。価格の「—」は、基準の袋の価格がわかる豆が少なく、中央値を出していないことを示します。
| 精製方法 | p10〜p90の幅(100gあたり) | 中央値(100gあたり) | 銘柄数 |
|---|---|---|---|
| ウォッシュド | ¥848〜¥2,400 | ¥1,149 | 616 |
| ハニー | ¥862〜¥2,320 | ¥1,100 | 127 |
| ナチュラル | ¥878〜¥2,375 | ¥1,225 | 347 |
| スマトラ式 | ¥800〜¥1,306 | ¥1,043 | 55 |
| アナエロビック | ¥1,000〜¥3,560 | ¥1,533 | 93 |
- ウォッシュド・n=518
- ハニー・n=110
- ナチュラル・n=303
- アナエロビック・n=80
違いはあくまで傾向です。品種、標高、焙煎度、農園での作業も味を左右します。浅煎りのウォッシュドのエチオピアが、深めに焙煎したブラジルのナチュラルより果実感を強く感じさせることもあります。国ごとの傾向は産地ごとの特徴にまとめています。
手間のかかる方法ほど、農園の作業とリスクは増えます。発酵に失敗したロットは元に戻せず、実験的なロットは量も少なめです。これらは価格に表れやすい要因ですが、値段は産地や品種、焙煎所によっても大きく変わります。詳しくは100gあたりの相場で解説しています。
好みから精製方法を選ぶには?
- すっきりした味や産地の違いを比べたいときは、ウォッシュド同士で比べると違いがわかりやすくなります。
- 果物のような甘い香りが好みなら、ナチュラルやハニーの説明に、その方向の言葉が多く見られます。
- 個性の強い香りに関心があれば、アナエロビックの豆もあります。インフューズドかどうかは焙煎所の説明で確かめられます。
- 酸味が気になるときは、精製方法より焙煎度の影響が大きいこともあります。酸味と酸っぱさの違いも参考になります。
わかっていないこと
- 実際にどう精製されたか。当サイトは焙煎所の記載をそのまま使っています。多くは生産者や輸入会社の情報です。記載がない豆は、各銘柄のページで「記載なし」と表示しています。
- 言葉の細かな意味。ハニー、アナエロビック、インフューズドには法律上の定義がなく、農園によって使い方が違います。発酵の時間や温度が公開されることはまれです。
- 実際の味。風味の系統は焙煎所が説明している方向を示すもので、カップの中の味そのものではありません。
ナチュラル精製のコーヒー豆
Fuglen Tokyo神奈川県川崎市多摩区
AUGUSTO BORGES ESPRESSO / BRAZIL
ブラジル、南ミナス、1,100m
ナチュラル、イエローブルボン
トロピカル・ワイニー、チョコレート、ナッツ・キャラメル
エスプレッソ向け
100gあたり ¥1,275
¥2,550(200g)・税込・送料別・時点
ブラジル・ナチュラルの中央値より22%高い
焙煎所のサイトで見るFuglen Tokyo神奈川県川崎市多摩区
BOCHESA – ETHIOPIA
エチオピア、シダマ、2,000〜2,200m
ナチュラル、エチオピア在来種
ベリー、トロピカル・ワイニー、チョコレート
エスプレッソ向け
100gあたり ¥1,455
¥2,910(200g)・税込・送料別・時点
エチオピア・ナチュラルの中央値より21%高い
焙煎所のサイトで見るSOT COFFEE ROASTER大阪市
Colombia Alto de Las Estrellas Anaerobic Natural コロンビア アルト デ ラス エストレージャス アナエロビック ナチュラル
コロンビア、ナリーニョ、1,900m
ナチュラル(アナエロビック)、カトゥーラ、カスティージョ
柑橘、ベリー、トロピカル・ワイニー
100gあたり ¥2,053
¥3,080(150g)・税込・送料別・時点
コロンビア・ナチュラルの中央値より14%安い
焙煎所のサイトで見るTODEN COFFEE東京都豊島区
イエメン モカ ハラーズ アリジ ナチュラル
イエメン、Haraaz、1,500〜2,500m
ナチュラル、エチオピア在来種
チョコレート
100gあたり ¥1,710
¥3,420(200g)・税込・送料別・時点
イエメン・ナチュラルの中央値並み
焙煎所のサイトで見るTSUKIKOYA COFFEE ROASTER神奈川県横須賀市
GEISHA-Ethiopia 浅煎り Honey
エチオピア、Bench Maji、1,730〜1,890m
ナチュラル、ゲイシャ
フローラル・紅茶、柑橘、トロピカル・ワイニー
100gあたり ¥2,160
¥2,160(100g)・税込・送料別・時点
ゲイシャの中央値より17%安い
焙煎所のサイトで見るVOYAGE COFFEE & SUNDRIES愛知県半田市
エチオピア ボンベ(中煎り)
エチオピア、グジ、2,100m
ナチュラル、エチオピア在来種
フローラル・紅茶、柑橘、ベリー
100gあたり ¥855
¥1,710(200g)・税込・送料別・時点
エチオピア・ナチュラルの中央値より29%安い
焙煎所のサイトで見る出典と方法
- 精製方法:各焙煎所のショップの記載。精製方法の欄や商品名を説明文より優先し、出典を各銘柄のページに表示しています。ルールは掲載基準と方法。
- 価格:基準の袋(100〜250gのうち200gにいちばん近い袋)の税込価格を100gあたりに換算。送料は含みません。在庫のある豆のみ、2026年10月21日時点。中央値はグループの銘柄数と焙煎所数が十分な場合だけ表示しています。
- 風味:焙煎所の説明をAIで8つの系統に分類したもの(AI分類)。味を測ったものではありません。
- 精製の工程:スペシャルティコーヒー協会(SCA、sca.coffee)の教育資料など、一般的なコーヒーの知識によります。ハニーやアナエロビックなどの言葉に公的な基準はありません。