モカ・キリマンジャロ・ブルーマウンテンとは:名前の由来と産地
掲載料・広告はありません。数字は焙煎所のショップの表示を集計したものです(2026年10月21日時点)。集計の方法
喫茶店のメニューやスーパーの棚でおなじみの「モカ」「キリマン」「ブルマン」。どれも聞き覚えはあっても、どの国のどんな豆を指すのかは、意外とわかりにくいものです。ここでは、それぞれの呼び名が何を指すのか、なぜその名前なのか、スペシャルティコーヒーの焙煎所ではどう書かれているのかを整理します。
モカ・キリマンジャロ・ブルーマウンテンとは?
3つとも、港や山、地域の名前がそのまま豆の呼び名になったものです。業界の表示ルールである「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」の施行規則は、こうした呼び名の範囲を例として定めています。
| 呼び名 | 国 | 規約の例示 | 名前の由来 |
|---|---|---|---|
| モカ | エチオピア、イエメン | モカハラー:エチオピア・ハラー地区のアラビカ種/モカマタリ:イエメンのアラビカ種 | イエメンの港町モカ |
| キリマンジャロ | タンザニア | タンザニアで生産されたアラビカ種(ブコバ地区を除く) | キリマンジャロ山 |
| ブルーマウンテン | ジャマイカ | ジャマイカ・ブルーマウンテン地区のアラビカ種 | ブルーマウンテン山脈 |
この3つに「ハワイコナ」などを加えて「世界三大コーヒー」と呼ぶ説明も見かけますが、どれを入れるかは記事によって違い、決まった定義や出典は見つかりませんでした。
モカとは?エチオピアとイエメンの豆の呼び名
モカは、アラビア半島の南西、イエメンの紅海沿岸にある港町の名前です。中世以来、南アラビア産コーヒーの積出港として栄え、19世紀に衰えました。対岸のエチオピアの豆もこの港から運ばれていたため、両国の豆がまとめて「モカ」と呼ばれるようになったと説明されています。
公正競争規約の例示にあるのは、エチオピア東部ハラー地区の「モカハラー」と、イエメンの「モカマタリ」です。実際の売り場では、イルガチェフェやシダマなど、ハラー以外のエチオピアの豆に「モカ」をつけて売る店もあります。袋に「モカ」とあるときは、エチオピアとイエメンのどちらの豆か、どの地域の豆かを確かめると、中身がはっきりします。
紛らわしい言葉が2つあります。ひとつは品種の「モカ種」で、粒の小さな品種です。もうひとつはチョコレートを使った飲み物の「カフェモカ」です。どちらも産地の呼び名のモカとは別のものです。
コーヒー図鑑には、エチオピアとイエメンの豆が296銘柄あります(エチオピア285、イエメン11)。そのうち商品名に「モカ」を入れているのは14%です。国ごとの豆はエチオピアのコーヒー豆とイエメンのコーヒー豆で見られます。
キリマンジャロとは?タンザニアのアラビカ種
キリマンジャロは、タンザニア北部にある山の名前です。山のふもとはコーヒーの産地ですが、日本の表示ルールでは、「キリマンジャロ」はもっと広い範囲を指します。タンザニアで生産されたアラビカ種の豆が当てはまり、北西部のブコバ地区の豆は含まれません。
そのため、キリマンジャロ山から離れた南部のムベヤ(ムボジ)などの豆も、ルールの上では「キリマンジャロ」と名乗れます。スペシャルティの焙煎所では「タンザニア」に続けて地域名や農園名、AAなどの等級を書くことが多く、どこで育った豆かはその部分でわかります。タンザニアの豆は、もともと粒の大きさで格付けされてきました。
コーヒー図鑑のタンザニアの豆は54銘柄で、そのうち商品名に「キリマンジャロ」を入れているのは35%です。一覧はタンザニアのコーヒー豆にあります。
ブルーマウンテンとは?ジャマイカの限られた地域の豆
ブルーマウンテンは、ジャマイカ東部の山脈の名前です。ジャマイカでは、法令にもとづいて名乗れる範囲が決められています。世界知的所有権機関(WIPO)の紹介記事によると、セント・アンドリュー、セント・トーマス、ポートランド、セント・メアリーの4つの教区のうち、標高3,000〜5,500フィート(約910〜1,680m)の場所で育った豆だけが「ジャマイカ・ブルーマウンテン」と呼べます。品質の証明は、ジャマイカの公的機関が行っています。
同じ記事(2010年)は、日本をブルーマウンテンの最大の輸入国としています。日本の表示ルールでも、ブルーマウンテン地区の豆と、「ハイマウンテン」地区の豆、それ以外のジャマイカの豆は別の呼び名として区別されています。
コーヒー図鑑のジャマイカの豆は9銘柄、商品名に「ブルーマウンテン」を含む豆は10銘柄です。ジャマイカの豆の100gあたり中央値は¥2,756です。一覧はジャマイカのコーヒー豆にあります。
「モカブレンド」にモカはどのくらい入っている?
公正競争規約の施行規則では、「○○ブレンド」と産地や銘柄の名前をつけたブレンドは、その豆を30%以上使っているものに限られます。「モカブレンド」ならモカを、「ブルーマウンテンブレンド」ならブルーマウンテンを、少なくとも3割は使っているということです。
逆に言えば、残りの7割はほかの豆でもかまいません。配合の割合を書いている焙煎所もあるので、気になるときは商品ページで確かめられます。コーヒー図鑑では、商品名に3つの呼び名のどれかを含むブレンドが14銘柄あります。
スペシャルティの焙煎所では、どう書かれている?
スペシャルティコーヒーを扱う焙煎所は、国名に加えて、地域、農園や生産者、品種、精製方法まで書くことが多く、昔ながらの呼び名は使わないか、補足として添える程度のことが多いです。たとえば「エチオピア イルガチェフェ ウォッシュド」は、呼び名でいえば「モカ」にあたります。
| 呼び名 | 対象の国の銘柄数 | 商品名に呼び名を含む銘柄数 | 焙煎所の数 |
|---|---|---|---|
| モカ | 296 | 52 | 34軒 |
| キリマンジャロ | 54 | 22 | 18軒 |
| ブルーマウンテン | 9 | 10 | 10軒 |
「商品名に呼び名を含む銘柄数」には、ブレンドも含みます。
コーヒー図鑑の検索窓に「モカ」と入れると、エチオピアとイエメンの豆が表示されます。「キリマンジャロ」ならタンザニア、「ブルーマウンテン」ならジャマイカの豆です。呼び名を使っていない豆も、国と地域で見つけられます。
モカやキリマンジャロの味の特徴は?
同じ呼び名でも、味は地域、精製方法、焙煎度で大きく変わります。たとえばエチオピアの豆でも、ウォッシュドとナチュラルではかなり違う風味になります。違いはナチュラルとウォッシュドの違いで解説しています。
コーヒー図鑑で焙煎所の説明をAIで分類すると、エチオピアとイエメンの豆で多いのはフローラル・紅茶、柑橘、ストーンフルーツ、タンザニアの豆で多いのは柑橘、ナッツ・キャラメル、チョコレートです。これは焙煎所の言葉をまとめた傾向で、当サイトが味を確かめたものではありません。
国ごとの風味の傾向と100gあたりの相場は、コーヒー豆の産地と特徴一覧で比べられます。
イエメン・タンザニア・ジャマイカの豆
TODEN COFFEE東京都豊島区
イエメン モカ ハラーズ アリジ ナチュラル
イエメン、Haraaz、1,500〜2,500m
ナチュラル、エチオピア在来種
チョコレート
100gあたり ¥1,710
¥3,420(200g)・税込・送料別・時点
イエメン・ナチュラルの中央値並み
焙煎所のサイトで見るCOFFEE MAMECO埼玉県東松山市
キリマンジャロ AA ンゴロンゴロ コンゴニ農園 ウォッシュ タンザニア(100gパック)中浅煎り
タンザニア、Oldeani、1,590〜1,750m
ウォッシュド、ケント
柑橘
100gあたり ¥890
¥890(100g)・税込・送料別・時点
ブレンドの中央値より10%安い
焙煎所のサイトで見るCOFFEE ROAST ONE'S兵庫県神戸市中央区
イエメン モカ バニーマタル アル・カマリア 【Yemen Mokha Bani Matar Al Qamaria /Natural】
イエメン、Bani Matar、1,700〜2,000m
ナチュラル、Ja'adi、Dawairi
柑橘、トロピカル・ワイニー、ドライフルーツ・スパイス
100gあたり ¥950
¥1,900(200g)・税込・送料別・時点
イエメン・ナチュラルの中央値より43%安い
焙煎所のサイトで見るHAZEYA COFFEE北海道網走市
タンザニア・ブラックバーン農園・ミディアムロースト 200g
タンザニア、Arusha、1,675m
ウォッシュド、オナンガンジャン
柑橘
100gあたり ¥1,026
¥2,052(200g)・税込・送料別・時点
タンザニア・ウォッシュドの中央値より7%安い
焙煎所のサイトで見るKARAKU COFFEE福島県いわき市
お徳用タンザニア「ムベヤ地区」中煎り:
タンザニア、ムベヤ、1,660m
ウォッシュド、ブルボン、ケント
柑橘
100gあたり ¥648
¥3,240(500g)・税込・送料別・時点
KEYAKI COFFEE宮城県仙台市若林区
アカシア・ヒルズ ケント ウォッシュト
タンザニア、Karatu、1,750〜1,950m
ウォッシュド、ケント
チョコレート、ナッツ・キャラメル
100gあたり ¥1,440
¥2,160(150g)・税込・送料別・時点
タンザニア・ウォッシュドの中央値より31%高い
焙煎所のサイトで見るわかっていないこと
- 呼び名が正しく使われているか。コーヒー図鑑は焙煎所の記載をそのまま記録しています。ブルーマウンテンの証明書や配合の割合を確かめることはできません。
- 呼び名を使っていない豆の数。商品名以外(説明文だけ)に呼び名が出てくる豆は、上の数に入っていません。
- 規約に参加していない店の表示。公正競争規約は、規約に参加する事業者のルールです。すべての焙煎所が同じルールで表示しているとは限りません。
- 「モカ」という名前が日本でいつ広まったか。はっきりした一次資料は見つかりませんでした。
出典と方法
- 呼び名の範囲と「○○ブレンド」の30%ルール:全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約及び施行規則」施行規則第3条(1)イ、別表2(全国公正取引協議会連合会、PDF、2024年10月1日施行の変更を含む版)。2026年10月20日閲覧。
- 港町モカ:コトバンク「モカ」(百科事典の項目)。2026年10月20日閲覧。
- ジャマイカ・ブルーマウンテンの範囲、標高、証明、最大の輸入国:WIPO「In Search of a Perfect Cup」(2010年9月3日更新)。2026年10月20日閲覧。
- タンザニアの粒の大きさによる格付け:堀口俊英(堀口珈琲研究所)の講演要旨(PDF、2023年)。2026年10月20日閲覧。
- 当サイトの数字:在庫のある豆のうち、焙煎所が記載した国と商品名から集計。商品名の呼び名は「モカ」「キリマンジャロ」「キリマン」「ブルーマウンテン」「ブルマン」と英字表記を数え、品種の「モカ種」と「カフェモカ」は除いています。風味の傾向は焙煎所の説明をAIで分類したものです。2026年10月21日時点。詳しくは項目の読み取り方。